近づけばおぼろげに揺れる

君と見たいスペクタクル

Hey!Say!JUMPを「自軍」にするなら、今だ。

この手のブログは多いし、自分がまさかいわゆる沼誘導ブログを書く日が来るとは思っていなかったのだけれど、ここ2年のHey!Say!JUMPの表題曲を聞いていたらこの物語性とエモーショナルを全人類に知ってほしい!!!となったので勢いで書いてみる。とはいっても「Hey!Say!JUMP基礎(基本情報)」、「Hey!Say!JUMP楽曲論(おすすめ楽曲)」とかは他にいくらでももっと上手にまとめていらっしゃる方がいるのでそちらを履修してください。

ほんとは2007から、いやせめて私がちゃんとこの目で見てきた2017から語りたいくらいだけどそこから話すと何万字あっても足りないので2019の冒頭から話していきたいと思う。この講義に名前を付けるとするならば、「歌詞で繙くHey!Say!JUMP近現代史*1。単位は2単位。Hey!Say!JUMPいいなー!と少しでも思っていただければ単位は授与しますしリプでもコメントでもくださったらS差し上げます。楽単ですね。…とか言ってるけど以下めちゃくちゃ玄人向けの文章の自覚はある。というかたぶん玄人にしか伝わらない。(タイトル詐欺)

1.「時代の隙間で」

2019年5月に発売された「愛だけがすべて -What do you want?-」のカップリングである「Bloom」は、私は、この曲を作ったKaoruさんこと松兄から当時のHey!Say!JUMPへの宛書きであったと解釈している。

目指したその夢は 少しだけ勇気を絞れば近付くはず

君だけなの?この雨音?違うね!通り過ぎるよ♪

忘れないで君が信じてきた想い 変わりゆくこの先も 胸に抱き旅は終わらない!

もう一言一句写経したくなるくらい良い。うまく行ってない状況を「雨音」と表現する美しさと、君だけじゃないよ、「通り過ぎるよ」と気持ちを軽くしてくれる酸いも甘いも噛み分けた大人のやさしい言葉に胸を打たれる。そういえば岡本圭人くん留学直前のシングルにも「突然の天気雨」って言葉があったな、なんて思い出しながら。

この「Bloom」が出た時期の、もうほんとうにそれはそれはいろんなことが重なって「…JUMP大丈夫?」という空気は忘れられないなあ。アリーナツアー非開催発表や衝撃の売上といった相次ぐ“ざわつき”に穏やかではなかったTLとか、このとき発売された日経エンタとか。楽曲の路線が低迷してる、なんて声も見かけたりして。

周年バブルが弾けて、圭人くんの留学をはじめとしていろんなことがあって。デビューした新グループの勢いが止まらなくて、ジャニーズJr.が始めたYouTubeやISLAND TVも人気を博して着実にファンを増やしているらしい。2019年春は、そんな情勢だった。

「愛だけがすべて」の前週に発売された「Lucky-Unlucky」も歌詞にも、迷いとか、焦りとか、でも未来への希望やギラつきを忘れない気持ちとか、が滲んでいて大好きだ。このときの状況にすごく合っていたと思う。

きっかけを待っているだけの 愚かで情けない本音 もう後がないと覚悟決めたのに

タイムロス 焦ってないで 真っ直ぐに

それでも、JUMPは「待っていて」「誓うよ」と力強く歌ってくれたから、この人たちを信じようと思った。*2

2.ファンファーレ!との出会い

そんな曇り空を一気に晴らすようにやってきてくれた楽曲がみんな大好きファンファーレ!ですよね。「ファンファーレがなければ正直降りていたかもしれない」というツイートもよく見た記憶がある。数多のオタクの心を引き留め、または引き戻したファンファーレ。

僕らの世界が動き始める

僕ら羽ばたいて まだ誰も知らない世界を照らす

キミに出会ったんだ 始まりの合図

ファンファーレとの出会い、それはすなわち、辻村有記さんというストーリーテラーとの出会いだったのだと今振り返ると思う。

辻村さんが彼らに書く歌詞はすべてノンフィクションで、主人公は彼ら自身。昨年末のラジオでご本人がそう仰ってくださったのは、私みたいな歌詞をアイドルのそのときの状況に重ねて勝手に楽しむオタクとしてもあまりの幸福(しあわせ)だった。

辻村さんとの出会いこそが、「始まりの合図」だったし、本当にここからHey!Say!JUMPを取り巻く世界は動き始めた。すべてのJUMP担が、もしかしたらJUMPも、今振り返ってそう感じるのではないだろうか。

3.PARADE、それは萌芽

Hey!Say!JUMPにこれまでも「性質」としてあったファンタジー性や王道のジャニーズ“らしさ”、ショーっぽさを意図してコンセプトとして打ち出した、という点でPARADEは大きな進歩だった。今まで気に留めていなかった(わけではないのかもしれないけど)点をそこは長所だよ、と拾い上げてくれた松兄然り辻村さん然り光一くんがいて、ただかわいくて仲が良くて非現実感があるという「性質」としてじゃなくて、これまでの12年の積み重ねがあったからこそ練成された使える「武器」としてそれは昇華されたと思っている。ジャニーズ“らしさ”が血となり肉となっているのも、箱庭感があるのも彼らが内部舞台で育ってきた歴史があるからこそであり、それを武器として認識し「使えるようになった」ことで、ただ「キラキラ王道で踊りが上手くて仲良しのアイドル」から一歩先のステージに進めたんだと思う。例えるならば、ファンファーレで蒔いた種がPARADEで芽生え、後述のFab!で花を咲かせたような…と思って小見出しをつけたとき、私は気付いてしまった。PARADEに「め」とかいうモンスター曲があったことを。

それは「パレードは終わらない」というこれまた辻村さんが書いたド名曲が終わって10秒ほど経ったあと、余韻も何もなく唐突にめっめめめめめめめめめめめめめっめめめめめめめめめめめめと狂った歌い出しで始まり、狂ってるのは歌い出しだけかと思いきや終始狂っており、ジャニオタが大好きな非公式のお祭り「ジャニーズ楽曲大賞」でまさかの総合8位を獲り全他G担を困惑させた名(迷?)曲である。私はこの曲が大好きだけれども、「芽生えの兆候だ」とか「め め 芽が出る5秒前」とか、開花直前の10周年前のアイドルやジャニーズJr.が歌うならわかるけどなぜ12年目の中堅アイドルが…?という疑問もややあった。でも今になってわかった。間違いなくPARADEは「芽が出る5秒前」だったんだ。今後のJUMPの行く末を見抜いてJストさんこの曲推してたんだとしたらすごい。私は一生Jストに着いていく。

4.Fab! -music speaks.-という「答え」

Bloomにもパレードが始まる/パレードは終わらないにも「旅」「終わらない」「始まる」といったワードが共通して使われていて、もうこの時点で伏線回収😭😭😭しかも良い方向に進んでいるのがわかる😭😭😭となるんだけどFab!というとんでもない刺客が私たちを待っていた。Fabは、例えるなら先述の通り種を蒔き芽が出たのち咲いた花であり、この2年間の集大成であり、「答え」であったと思う。ファンファーレ!から始まった辻村楽曲というルートだけではなくて、先述の武器として自覚したファンタジー性、ラキアンあたりから特に力を入れておりその延長線上で豪華なアーティスト陣に楽曲提供していただくことも多かったカップリング、予告なしにGYAO!に新曲MVを投下するという“実験”、そのすべてが伏線、言い方を換えればこの2年で挑戦してきたあらゆることが集約されて成し遂げられたビッグプロジェクト、それがFab! -music speaks.-。

Fab!の一連のプロジェクトについてはこれまた詳しくまとめていらっしゃる方がいると思うので割愛させていただくが、この怒濤の伏線回収と物語性には興奮したし、歴史の証人のひとりになれたことを誇りに思う。

ここまでのことを踏まえてこのアルバムを象徴するリード曲、Fab-ismの歌詞を見ると本当に泣いてしまう。

何かを変えようとするには少し足りない気持ちが彷徨ってもどかしくて嫌になるよ

は、「きっかけを待っているだけの」あの「僕」と同一人物だし、

土砂降り雨の中で思い出した どさくさに紛れて流す涙 忘れちゃいけないあの日の記憶

は「Oh oh just cry  いいよ その涙が次の扉を開く鍵に生まれ変わり また乗り越えよう!」と松兄に励まされていたあの日の涙だ。と思うのは自由でしょう?解釈って楽しいよね。

 

私はHey!Say!JUMPは2〜3年のスパンでまるで別のグループみたいに見せる表情であったり空気感が変わるところがおもしろいなと思っているんだけど、Fab!で一見この2年の物語は完結したように見える今、この2021年からはどんな物語を見せてくれるのか。この物語の延長線なのか、それともまた一から積み上げるのか、2021年のHey!Say!JUMPの楽曲も楽しみですね。最後に、あえて序章のときにさらっとしか触れなかった2019年春の日経エンタから、いくつかの言葉を紹介しようと思います。当時はこれを読んで、彼らの迷いやもがき、焦りが垣間見えて苦しい気持ちになったけど今見るとまた違う気持ちになるね。

大人数の男性グループって(中略)もう珍しくないから、ダンスでも歌でも1つ1つをスキルアップして、数の強みを強めていきたい  髙木雄也

流行遅れにはならないよう常に(中略)敏感でいる必要はあると思うし、より先駆けてはいたい  中島裕翔

僕たちはまだ、特別何かを確立したグループではないので。だからこそ今、テレビだけじゃなくネットとかにも積極的に参戦していってもいいのかなって  知念侑李

「もっとこういう曲がやりたい」とか「次はこう見せていこう」とか「時代の流れについて」とか、昔よりメンバー同士で話し合うようにはなってきたかな  山田涼介

10年以上やってきて、いつのまにか手にしていたものってあると思ってるし、いろんな楽曲に挑戦させてもらってより見えてきた部分もあるから  有岡大貴

僕らってメンバーがたくさんいてそれぞれがいろんな活動をしているぶん、打てる球はたくさんあるわけで。どこかにきっかけはあるはずだから、気を抜かないで頑張るしかない  伊野尾慧

曲では無限にチャレンジがしたい。固めちゃうと面白くないですから  八乙女光

JUMPは15周年に向けての過渡期を迎えてるんじゃないかと思います。これからグループがどうなっていくのかは、本当に自分たち次第  薮宏太

 

ええ…すき……(惚気)

ツイートもしたけど、ほんとに、今が一番おもしろいんですよHey!Say!JUMP。あのときは好きだったけど、今はな〜と思っているそこのあなた!あのときも良いけど、今のHey!Say!JUMP最高におもしろいから。最高の流れがまた来ていると私は信じているから。Jr.人気も高まる一方だし、デビュー直後の勢いそのままのアツいグループがあることも、10周年で大盛り上がりしてるグループがあることも知ってる。知ってる。

でもデビュー14年目のHey!Say!JUMPじゃなきゃ見せてもらえない景色を私は見せてもらっていると断言できる。

一緒に夢を見ませんか。私はいつでもあなたを待っています(ちょっと怪しい宗教団体み出すのやめなね)

 

*1:どうでも良いけど、「繙く」は書物のひもを解く意で「紐解く」は浴衣とかのひもを解く意だからこういう場合の「ひもとく」は「繙く」!って高校時代の現代文の先生が仰ってたの思い出した

*2:ちょっと脱線するけどラキアンってTHE Jスト曲って感じで好きだなあ。著名なアーティストさんに楽曲提供していただいた曲が持て囃される今日この頃だけど、新進気鋭の、ジャニーズ(なんならそのグループ)の曲以外でお名前を聞かないような幅広いアーティストの方から曲を集めて、全部違う人が作っているのにどこか共通した“Jスト感”があるJストの爽やかで前向きになれるのにどこか切ない国内志向曲が私は好きだよ。